ペイトラ

ペイトラ

ミリュウは、彼に全幅の信頼を寄せている

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疑う理由はない

彼女は、腕輪型通信器を起動させた

「マユリん、聞こえる?」『どうした?』「あたしが合図したら、上空に転送して欲しいの」『わかった』 マユリ神の返事は、簡素なものだ

それは、女神がすべての戦場を掌握しなければならない立場にあるからに違いなかった

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「だいたい、お前がボク達を助ける理由なんて何もないじゃないか!」 ハティの持つ短刀《ナイフ》の刃が椿の首にぴったりと当たる

僅かにでも力を籠めればその刃が喉元に食い込むだろう

「理由ならあるよ」 椿は視線を逸らさず答えた

「な、なんだ行ってみろ!」「その前に、僕から質問させてもらいたい

君はどうして君の弟妹《かぞく》を助けたいと思ってるんだい?」「そんなの…決まってる!ボクも、ボクの弟も妹も貧民街《スラム》に捨てられてたんだ

ボクと同じ境遇のみんなを、放っておく訳にはいかない…!」「だったら僕も同じだよ」「なに…?」「僕も、この世界に当然放り出されて…野垂れ死ぬか、殺されるか…そんな状態だった」 幾度となく考えた事がある

『もしもこの世界に放り出された時、エレオノールに助けられなかったら』という想像だ

その場合は、食料を手に入れられず餓死するか、王太子のような人間に殺されるか…もしくは、誰かに都合よく利用される人生を送る事になっていただろう

今のハティのように

「僕は、あの日の僕のように助けが必要な人間を助けたいと思う

…君が、君の弟妹《かぞく》を助けたいと思うように

それが、僕が君たちを助けたいと思う理由だよ」「だ、黙れ…ボクはお前の言う事なんて…」「そうだね、信じて貰えないかもしれない」 短刀《ナイフ》の冷たい感触をその首筋に感じる

しかし、引きはしない

自分の命を賭けるしか、少女を説得する事はできないと感じているからだ